現在,日本は超高齢社会であり,今後も高齢者の人口は増えていくことが予測されており,これに伴い骨折患者数も増加するとされています.高齢者は骨粗鬆症などが原因で,転倒などの軽微な外力によっても骨折を受傷してしまいます.中でも大腿骨近位部骨折は歩行能力を低下させてしまうため,高齢者の生活の質(QOL)を低下させる危険性が高く,社会的問題となっています.大腿骨近位部骨折の1つである大腿骨転子部骨折は患者ごとに骨折パターンが多種多様であり,整復が困難であると知られています.この多種多様な骨折パターンをバイオメカニクスの観点から考えると転倒時の力学的状況の違いや患者ごとの骨密度,骨形態などの骨情報の違いにより生じていると考えられます.転倒状況や患者の骨情報と多種多様な骨折パターンとの関係解明は正確な術前計画,的確な整復につながり,早期治癒が期待できると考えられます.そこで,有限要素解析を用いて,さまざまな転倒状況を想定した解析を行うことで,転倒状況や患者の骨情報と多種多様な骨折パターンとの関係の調査しています.